最重要の前置き
・本記事は現場安全の一般的な考え方です。身体拘束は禁止が原則。施設方針・法令・研修に従ってください。
・危険を感じたら離脱&支援要請を最優先(通報も含む)。
・医学的/法的助言の代替ではありません。疑義は所属施設へ。
・本記事は現場安全の一般的な考え方です。身体拘束は禁止が原則。施設方針・法令・研修に従ってください。
・危険を感じたら離脱&支援要請を最優先(通報も含む)。
・医学的/法的助言の代替ではありません。疑義は所属施設へ。
結論:護身術=「勝つ」じゃなく無事に離れる
介護職の護身は①予防(先読み)→②非対立コミュニケーション→③離脱(距離確保・退避)の3本柱。目的はケガゼロでケア継続です。
1|先読みのコツ(予兆サイン)
レベル | サイン例 | 即対応 |
---|---|---|
イエロー | 早口・落ち着きなく歩く/握り拳/距離が詰まる | 腕1本+半歩の距離/声を低くゆっくり/退路を確認 |
レッド | 怒鳴る・掴む・物を持つ/振る | 離脱→コール/遮蔽物で線を作る/交代を要請 |
2|距離と位置取り(ノンバーバルで守る)
- 斜め45°半身に立つ(真正面で圧をかけない)。
- 腕1本+半歩の距離をキープ。
- 退路:背後の出口/ナースコール/同僚の位置を常に意識。
- 壁際に追い込まない&追い込まれない配置で対応。
3|手の形=パッシブ・ガード
- 胸の前で手のひらを見せる(攻撃意図がない合図)。
- 肘は軽く曲げて体に近く(掴まれにくく、万一のガードにもなる)。
- 肩はストンと下げる。顎は上げない。
4|言い換えテンプレ(非対立コミュニケーション)
声のトーン:低め・ゆっくり・短文。命令形は避け、選択肢を渡す。
- 否定→指示:「ダメです」→「手は下ろしてください。安心になります。」
- 境界線:「叩かれるのは困ります。少し離れますが近くにいます。」
- 共感+要件:「不安ですよね。安全のため距離をとります。落ち着いたら続けましょう。」
- 選択肢:「ここで座る/廊下を歩く、どちらが安心ですか?」
5|環境で守る(“迷路”を“道”に)
- 動線:扉前や狭所でのケアは避ける。角には見通しを。
- 撤去:掴める/投げやすい小物を置かない。
- サイン:行き先は色・矢印・写真でシンプル表示。
- 刺激:まぶしさ/反響音を減らし、刺激過多を避ける。
6|離脱と交代(撤退ラインを決めておく)
- 離脱合言葉:例「赤いファイルお願いします」=応援要請。
- 1対1長時間は避ける。話す役と環境調整役を分担。
- 交代時は「私が下がります。○○さんお願いします」と明確に。
7|夜勤・狭所のコツ
- 巡視頻度が上がる時間(覚醒しやすい時間帯)をチームで共有。
- センサー/コール位置を夜勤開始時に再確認。
- 施錠エリアでの1対1対応は避ける。出入口を背にしない。
8|触れられた時の考え方(安全にほどく)
※具体的な制圧や関節操作は行わない。未習得の技法は使わない。
- 引っ張らない(相手も強く握る反射が起きやすい)。
- 体を近づけて圧を緩める→横にずらす→後ろへ半歩(距離作りを優先)。
- 指を一本ずつ優しくはがすイメージ(ねじらない/痛刺激を与えない)。
- ほどけたら即離脱→合図。説得や叱責は後回し。
9|ケース別のコツ(例)
- 物盗られ妄想:否定より安心を優先。「一緒に探しましょう」「保管場所を確認しましょう」。
- 帰宅願望:「15時に○○で」など見通しを提示/写真や地図も活用。
- 拒否強いケア:分割・順番変更・別の人へ交代・時間を置く。
10|記録と共有(テンプレ)
ABC(Antecedent 行動前/Behavior 行動/Consequence 結果)で簡潔に:
A(前) | B(行動) | C(後) |
---|---|---|
16:10 入浴声かけ、浴室前が眩しい | 声が大きく近接、手首を掴む | 距離確保・交代・照明調整→5分で落ち着き |
共有ポイント:トリガー(時間/場所/人)/効いた声かけ/有効だった環境調整。
11|持ち物と配置のコツ
- ナースコール端末・鍵・スマホ(施設規定内)は取り出しやすい位置に固定。
- IDストラップや紐物は掴まれにくい長さ/材質に見直し。
12|よくあるNG
- ため息・睨む・皮肉などの非言語挑発。
- 狭所での押し問答/退路ゼロの位置取り。
- 「正しい/間違い」で押し切る(安全>正しさ)。
今日の2分アクション
- 担当フロアで退避ルートと遮蔽物を1か所ずつ確認。
- チーム合言葉を1つ決めて掲示(例:赤いファイル=応援要請)。
- 言い換えフレーズを3つ声出し練習(低め・ゆっくり・短文)。
60秒ショート台本(現場向け)
- 0–10秒:結論「護身=無事に離れる」。腕1本+半歩/斜め45°。
- 10–25秒:手の形(開いた手)&声(低くゆっくり)。
- 25–40秒:合言葉→交代。「私は下がります。○○さんお願いします」。
- 40–55秒:NG三兄弟(睨む・詰める・押し切る)。
- 55–60秒:今日の2分アクションを字幕で提示。
※危険が迫る状況では、ためらわず離脱・応援要請・通報。あなたの安全が最優先です。
コメント