介護福祉士が語る!腰痛を防ぐ体の使い方|“持ち上げない・ねじらない・滑らせる”


結論:腰痛を防ぐカギは、①腹圧(ブレイシング)②股関節主導(ヒップヒンジ)③45°半身+広い足幅
現場では持ち上げない・ねじらない・滑らせるを徹底し、準備→合図→動作→整理の順で進めよう。

安全メモ
・痛み/しびれ/脱力が出たら中止し、医療判断を優先。
・移乗補助具(スライディングシート/移乗ボード/ギャッジアップ等)は施設方針と研修に沿って使用。
・本記事は一般的ガイド。環境・ADL・認知症状に合わせて無理なく。

原則5つ(覚えるのはこれだけ)

  • 腹圧鼻4秒吸う→口6秒吐くでお腹360°を軽く張る。動作中は会話できる強度。
  • ヒンジ:腰で曲げず、股関節でお尻を後ろへ。背中フラット。
  • 足幅と向き:肩幅+半歩、つま先は軽く外。重心は母指球
  • 角度:相手に対して斜め45°の半身(正面で詰めない)。
  • 操作押す>引く滑らせる>持ち上げる小分け>一気

30秒チェックリスト(介助前)

項目 確認
ブレーキ ベッド/車いすブレーキON、フットレスト退避
高さ ベッドは股関節(大腿骨付け根)前後の高さに調整
足元 床の滑り/障害物ゼロ、足場は肩幅+半歩
動線 出口/退避ラインの確保、周囲に余計な人を集めない
声かけ 目的と手順を短文で予告:「今から〇〇します」

ケース別:こう動くと腰が守れる

① ベッド上で上方移動(頭側へ「ずらす」)

  1. ギャッジを少し上げ、膝を立てる(ご本人)。
  2. 介助者は45°半身、腹圧→ヒンジ。肩と骨盤を同じ方向へ「滑らせる」意識。
  3. 1・2・3」の合図で、ご本人はかかとで床/マットを押す。介助者は押す支援で引っ張らない。

ポイント:シーツを“持ち上げない”。摩擦軽減(滑り)を優先。

② ベッド端座位→立位→車いす移乗

  1. 端座位で前すべり→お尻を縁へ。足底は床全面接地。
  2. 「鼻をつま先より前」に合図し、重心を前へ(ここで9割決まる)。
  3. 介助者は膝で軽くブロックしながら45°半身、腹圧→ヒンジで一緒に立つ
  4. 回旋は小さく。ねじらない半歩ずつ向きを変える。
  5. 座る時は、お尻の位置を目で確かめてからゆっくり。
NG→置き換え:抱え上げる× → 重心前→立つ→小さく回る→座るの分解。

③ 体位変換(仰臥→側臥)/ オムツ交換

  • 手順予告→ご本人の膝を立てて倒す方向の足を上に。
  • 肩と骨盤を同時に“倒す”。ねじらない(肩だけ先/骨盤だけ先は×)。
  • 介助者は45°半身、腹圧→ヒンジで押して転がすイメージ。

④ 物品の押し引き/カート操作

  • 押す>引く。ハンドルは肘軽く曲げ、胸の高さ前後。
  • 方向転換は歩幅を小さく円を描く。腕でこじらない。

よくあるNG → 直すコツ

  • 前屈みで丸腰 → お尻を後ろ(ヒンジ)+胸を長く。腹圧軽く。
  • 一気に持ち上げる → 滑らせる/分ける/人数増やす/補助具を使う。
  • 正面から密着 → 斜め45°半身+腕1本の距離感。
  • 無言で触れる → 予告→同意→合図「いきます、1・2・3」。

2分でできる“腰リセット”ルーティン(勤務中OK)

  1. 呼吸30秒:鼻4・口6×3(肩ストン)
  2. ヒンジ10回:お尻を後ろへ→背中フラット確認
  3. 壁プッシュ30秒:両手で壁を押し、体幹を軽く入れる
  4. 首/胸の開き各10秒:視線遠く→肩を後ろへ

目安:60〜90分に1回、30〜120秒の“マイクロブレイク”。

Q&A(現場でよく聞かれるやつ)

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